労働の被害者意識をさっさと捨てないとこれから生きていけなくなる




ここ数年ブラック企業やりがい搾取といった言葉が使われることが増えて、企業側が「会社に貢献しろ」「成果を出せ」と言いづらい風潮になってきていると感じます。僕は企業が従業員に成果を求めるのは当然のことだと思っていますが、悪質な企業が作った空気がそう言えなくさせてるような気がしています。

「成果を出せ」と言う企業側に対して「成果に見合った報酬をもらっていない」という反論ツイートを目にしたことがあります。今はブラック企業リストが公開されるなど、体質の悪い企業が明るみに出て徐々に淘汰(もしくは改善)されていくでしょう。しかし、現在の日本企業の体質が原因で、ブラック企業が淘汰された後もブラック企業に戻りたがるブラック社員が出てくるのではないかと懸念しています。

 

成果報酬型に踏み切れない日本企業の体質

一般的な日本企業では、成果を挙げた人ほど給料を貰う制度(=固定給+成果報酬)の導入は難しい面があります。日本企業の残業体質では「効率のいい人ほどバカを見る構造」があるからです。あくまで給料は固定給+残業代という形で支払われる企業がほとんどなので(時給などは明記されていなくても)その実は時間制労働です。

例えば一時間で100の仕事ができるAさんと70の仕事ができるBさんがいたとしても、8時間労働でAさんは800の仕事をやらされ、Bさんは560の仕事しかやらずに済むわけです。Aさんが600の仕事をやった時点で帰れるという社風の会社は少ないでしょう。

効率を上げるほど仕事量が増えるという大損が待っており、当然同じ仕事量ならダラダラ残った方が残業代がもらえる分だけマシと考える人も出てきます。そして会社員の頃に実際に感じたのが「残業時間が多い人ほど頑張っている」という風潮。この体質に対して疑問を投げかけるツイートを多く見かけますが、実態はまったく改善されていないようです。

 

ブラック企業が完全に淘汰されたら・・・

そんな体質を抱えた日本で今後ブラック企業が淘汰されたり、時間制労働そのものが廃止された場合を考えてみます。「時間制労働の範疇で効率よく成果を上げる」という発想のなかった人の中には「成果をあげて欲しかったら報酬をよこせ」と言い続ける層が残ると思います。乱暴に言い換えれば「月20万のところを月30万にしたら成果を上げてやる」という成果を出さずに権利ばかり主張する人が残ってしまうというタイプです。ダラダラ会社に残っていた人たちはやりたくない仕事がすべてAIに取って代わられた時代に生き残れません。

これが残業したいブラック社員の誕生になると思っています。30年後ぐらいのTwitterで「30年前は会社にいて仕事してるふりするだけで給料が貰えたし好きなだけ会社にいてよかった」とかいうツイートが出てきてるような気がします。成果を上げることではなく長く会社にいることを重視し、ブラック企業が淘汰されたことでブラック企業の復活を望む層が現れるということです。

 

被害者意識の強い従業員の誕生

成果を上げなくても会社に長く残るほど給料がもらえる。そんな体質が「働くこと=耐えること」という意識を付けてしまい従業員の被害者意識が強くなります。極論を言えば「仕事をやらなくても給料がもらえるのに仕事を押し付けられるのは損」と考えるようになるということです。

偉そうに言っている僕も会社で与えられた仕事に対しては「やらされている感」を強く感じてしまっていました。改善すべき考え方だったと今でも反省です。

 

こうすればいいと思う

「成果をあげる能力があるのに効率を求めるとバカを見る」と感じている人は環境を変えるべきです。

「働く=我慢」と考えている人は近い将来に仕事がなくなると自覚し被害者意識を捨てるべきです。

今も時代に合わない日本企業の風習が根強く残っていますし、それで割りを食う労働者の方が弱い立場にあることが多いです。しかし弱い立場にあることを利用し「労働に見合った報酬がない。休みがない」とSNSで声を上げ続けるくらいなら環境を変えるべきだと思います。残業代が出ないことは労働法違反なので労働者が泣き寝入りするのはおかしな話なので、文句を言うぐらいなら労働基準監督署に訴えるかさっさと関わりを絶って良い環境に移るべきだと思います。ブラック企業リストが公開されたように、おかしな体質の企業は今後(特に人材面で)淘汰されていくはずです。「残業代を全部出したら会社が潰れてしまう」という意見を聞いたことがありますが、僕には「人を殺した数を正直に言ったら捕まっちゃうじゃん」と同じに聞こえます。「さっさと捕まれよ」と思いますよね。

要はブラック企業というのもブラック企業で働く人に支えられているので、本当にそういう労働状況を帰るのであれば「条件が合わなければさっさと辞める」が当たり前にならないといけません。

 

キャリア選択についての持論

僕は企業に勤めること自体を批判はしていません。僕は会社勤めにまったく向いていなかったので、同じようなタイプの人には「フリーランスや転職も選択肢に入れてみて」と発信しているつもりです。しかし会社勤めが嫌だ・待遇が不満だと言いながら環境や状況を変えようとせずただ耐えている人がまだまだ数多くいると思います。そしてその中の何割かは環境が改善されたときに時代の変化についていけず、「耐える労働」を求めるブラック社員になってしまうのではないかと懸念しています。

改善されないのは腹が立つかもしれませんがそれこそ大事な時間が無駄です。従業員といっても街中で突然捕らえられて強制労働させられているわけではありません。まず被害者意識を捨て、その結果損をするような職場環境なら変えることを選択肢に入れましょう。

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