【フェイクニュースの作り方】今村復興相の「問題発言」を例に考えてみる




今村復興相が福島県からの自主避難者に対し「自己責任」と発言したとされている一連の問題について思ったことを書きます。

 

大臣という身で一記者に激昂したこと(相手がどんな失礼な態度を取ったとしても)、

記者の口車に乗り冷静な回答ができなかったことは今村復興相の落ち度と言えるでしょう。

 

しかし、本質はどうなのでしょうか?

 

メディアでは

「今村復興大臣が『自主避難していることは自己責任だから国は関係ない』と発言した」と捉えられる報道を繰り返しています。

 

実際のところはどうなのか、やりとりを振り返りながら考えます。

 

実際のやりとりの抜粋

復興庁ホームページから、質疑応答の全文を抜粋します。

(問)今、お話があったように、31日に避難区域が解除され、そして、自主避難者の方の住宅の無償提供も打ち切られましたけれども、その週に、先週になるわけですが、避難者を中心にした全国の16の団体の方が安倍首相、それから松本内閣府防災担当大臣、それから今村復興大臣宛てに避難用住宅の提供打切り撤回と避難住宅の長期無償提供を求める署名というのを提出されました。2次署名分で約2万3,000筆、それから1次と合わせると8万7,000筆近くになる署名を提出されたんですけれども、大臣はこの署名について、申入れ内容について把握されていらっしゃるでしょうか。

(答)まだ確認はしていません。

(問)ああ、そうですか。その中で、やはり3月17日の前橋地裁の国とそれから東電の責任を認める判決が出たわけですけれども、国と東電は3月30日に控訴されました。ただし、同じような裁判が全国で集団訴訟が起こっておりますし、原発は国が推進して国策ということでやってきたことで、当然、国の責任はあると思うんですが、これら自主避難者と呼ばれている人たちに対して、国の責任というのをどういうふうに感じていらっしゃるのかということを、国にも責任がある、全部福島県に今後、今まで災害救助法に基づいてやってこられたわけですけれども、それを全て福島県と避難先自治体に住宅問題を任せるというのは、国の責任放棄ではないかという気がするんですけれども、それについてはどういうふうに考えていらっしゃるでしょうか、大臣は。

(答)このことについては、いろんな主張が出てくると思います。今、国の支援と言われますが、我々も福島県が一番被災者の人に近いわけでありますから、そこに窓口をお願いしているわけです。国としても福島県のそういった対応についてはしっかりまた、我々もサポートしながらやっていくということになっておりますから、そういうことで御理解願いたいと思います。

(問)福島県の近隣、関東から関西方面ですとか、日本全国に避難されている方もいらっしゃると思うんですが、全て福島県を通すということ自体がもともと今の自主避難の実態に合わないんじゃないかなという気がするんですけど、やはり国が子ども・被災者支援法に基づいて、しっかり対策をもう一度立て直す必要があると思うんですが、それについてはどうお考えでしょうか。

(答)それは今、言いましたように、福島県がいろんな事情、現地の事情等、そういったことも詳しいわけですから、そこにお願いして、それを国がサポートするというこの図式はこのままいきたいというふうに思っております。

(問)昨日、復興庁から被災者支援総合交付金第1回の配分が発表されたかと思うんですが、今回の配分について、どのような趣旨で行ったかというところの見解をお聞きしたいんですが。

(答)これは従来からもそうですけれども、できるだけさっき言った趣旨にのっとって、復興の加速化、特にソフト面、そういったところに力を入れてやっていくということで、具体的な項目等には皆さん、お手元に行っているかな。それで見てください。

(問)ソフト面の強化ということですか。

(答)特にそれを重点に置きたいと思います。

(問)今月で熊本地震から1年たちますけれども、東北の復興を手掛けている復興庁として、熊本地震の被災地に何か取り組まれるというか、お考えはありますでしょうか。

(答)熊本については、いろいろインフラの関係は国土交通省とか農林水産省が中心にやって、それで対応できていたと思います。それに加えて、いろいろ災害公営住宅の建設の仕方とか、いろんな寄り添いといいますか、そういったソフト面での対応については、復興庁が得た知見をそれぞれ熊本県なり何なりにも提供しながら、今までもやってきたつもりであります。ですから、もうちょっとで1年云々ということなんでしょうが、今のところ、何とかうまく行っているんじゃないかなというふうには思っていますけどね。いろいろとそのときによってまた新しい問題が出てきますから、そういうときには我々が提供できる、あるいは、指導できる面はもちろんやるつもりです。

(問)以前に、熊本地震のアーカイブみたいなものをつくりたいというふうにおっしゃっていたと思うんですけど、その辺りは分かりますか。

(答)ええ、これは熊本に限らず、東北の方でもそういう動きがあるわけですから、随時、更に加えてまた熊本の分も含めて、要するに、いざというときにどうしたらよかったのか、何がまずかったのか、そういったものを総括したものを、いろんな形でまた日本全国にアピールできるようなこともやらなきゃいけないかなというふうに思っておりまして、これはまた松本大臣ともよく相談して進めていきたいというふうに思います。

(問)それは内閣府が去年の12月に熊本地震の生活支援の在り方、また、ワーキンググループが報告書をまとめていますけれども、それとはまた別にということですか。

(答)それも参考にしながら、そして、またそれにもう一つ東北の分も加味しながらやっていった方がいいんじゃないかなと。いずれにしろ、これから先に日本列島が非常に、何て言いますか、動き出したと言ったら変ですけれども、そういった状況の中で危機管理というものを、そういった意識を強めて、また、体制もしっかりやらなければいけないなということを、私も最近つくづくそういうふうに感じていますから、またいろいろそういうことはより今後の参考になるようにというつもりでやっていきたいというふうに思っております。
いざやっぱり大きな災害が起きると、非常に人命も損なわれるし、いろんな社会資本も大変傷みます。そうならないようにできるだけ防災、減災に力を入れるということが、結果的には、お金も掛からないという感じを私も強くしていますので、そういった言ってみれば強靱化といいますか、そういったことにも我々も復興庁の権限を生かしてまとめ上げていきたいというふうに思っているところです。

(問)福島県、福島県とおっしゃいますけれども、ただ、福島県に打切りの、これは仮設住宅も含めてですけれども、打切りを求めても、この間各地の借り上げ住宅とか回って、やっぱりその退去して福島に戻ってくるようにということが福島県の、やはり住宅設備を中心に動いていたと思うんですが、やはりさっきも言いましたように、福島県外、関東各地からも避難している方もいらっしゃるので、やはり国が率先して責任をとるという対応がなければ、福島県に押し付けるのは絶対に無理だと思うんですけれども、本当にこれから母子家庭なんかで路頭に迷うような家族が出てくると思うんですが、それに対してはどのように責任をとるおつもりでしょうか。

(答)いや、これは国がどうだこうだというよりも、基本的にはやはり御本人が判断をされることなんですよ。それについて、こういった期間についてのいろいろな条件付で環境づくりをしっかりやっていきましょうということで、そういった住宅の問題も含めて、やっぱり身近にいる福島県民の一番親元である福島県が中心になって寄り添ってやる方がいいだろうと。国の役人がね、そのよく福島県の事情も、その人たちの事情も分からない人たちが、国の役人がやったってしようがないでしょう。あるいは、ほかの自治体の人らが。だから、それは飽くまでやっぱり一番の肝心の福島県にやっていっていただくということが一番いいというふうに思っています。
それをしっかり国としてもサポートするということで、この図式は当分これでいきたいというふうに思っています。

(問)それは大臣御自身が福島県の内実とか、なぜ帰れないのかという実情を、大臣自身が御存じないからじゃないでしょうか。それを人のせいにするのは、僕はそれは……。

(答)人のせいになんかしてないじゃないですか。誰がそんなことをしたんですか。御本人が要するにどうするんだということを言っています。

(問)でも、帰れないですよ、実際に。

(答)えっ。

(問)実際に帰れないから、避難生活をしているわけです。

(答)帰っている人もいるじゃないですか。

(問)帰っている人ももちろんいます。ただ、帰れない人もいらっしゃいま

す。

(答)それはね、帰っている人だっていろんな難しい問題を抱えながらも、やっぱり帰ってもらってるんですよ。

(問)福島県だけではありません。栃木からも群馬からも避難されています。

(答)だから、それ……

(問)千葉からも避難されています。

(答)いや、だから……

(問)それについては、どう考えていらっしゃるのか。

(答)それはそれぞれの人が、さっき言ったように判断でやれればいいわけであります。

(問)判断ができないんだから、帰れないから避難生活を続けなければいけない。それは国が責任をとるべきじゃないでしょうか。

(答)いや、だから、国はそういった方たちに、いろんな形で対応しているじゃないですか。現に帰っている人もいるじゃないですか、こうやっていろんな問題をね……。

(問)帰れない人はどうなんでしょう。

(答)えっ。

(問)帰れない人はどうするんでしょうか。

(答)どうするって、それは本人の責任でしょう。本人の判断でしょう。

(問)自己責任ですか。

(答)えっ。

(問)自己責任だと考え……。

(答)それは基本はそうだと思いますよ。

(問)そうですか。分かりました。国はそういう姿勢なわけですね。責任をとらないと。

(答)だって、そういう一応の線引きをして、そしてこういうルールでのっとって今まで進んできたわけだから、そこの経過は分かってもらわなきゃいけない。
だから、それはさっきあなたが言われたように、裁判だ何だでもそこのところはやればいいじゃない。またやったじゃないですか。それなりに国の責任もありますねといった。しかし、現実に問題としては、補償の金額だって御存じのとおりの状況でしょう。
だから、そこはある程度これらの大災害が起きた後の対応として、国としてはできるだけのことはやったつもりでありますし、まだまだ足りないということがあれば、今言ったように福島県なり一番身近に寄り添う人を中心にして、そして、国が支援をするという仕組みでこれはやっていきます。

(問)自主避難の人にはお金は出ていません。

(答)ちょっと待ってください。あなたはどういう意味でこういう、こうやってやるのか知らないけど、そういうふうにここは論争の場ではありませんから、後で来てください。そんなことを言うんなら。

(問)責任を持った回答をしてください。

(答)責任持ってやってるじゃないですか。何ていう君は無礼なことを言うんだ。ここは公式の場なんだよ。

(問)そうです。

(答)だから、何だ、無責任だって言うんだよ。

(問)ですから、ちゃんと責任……

(答)撤回しなさい。

(問)撤回しません。

(答)しなさい。出ていきなさい。もう二度と来ないでください、あなたは。

(参考)

 

ものすごく要約すると、こういったやりとりがありました。

 

記者「関東北部など福島県外から全国に自主避難している避難者の対応を福島県に任せるのは無理がある。国が責任を持って対応するべき。」

今村復興相「国は6年にわたり避難住宅の無償提供を行ってきた。今後は実情を理解している福島県に窓口をお願いし、国はそれをサポートする立場に立つ。避難指示解除に伴って住宅の無償提供は打ち切るため、帰るか帰らないかの判断は避難者自身に行ってもらう。」

 

避難指示が解除されたからといって、素直に帰るのが不安というのは理解できます。

原発事故について国と東電の責任であるという判決も出ています。

 

しかし少なくとも今村復興相は

「自主避難をしていることは避難者の自己責任である」という言い方はしていません。

「避難指示が解除された区域に帰るかどうかの判断は避難者自身が行うことができる」という意味の発言を

記者の挑発的な質問によってうまく印象が変えられた結果

「自主避難の責任は国ではなく避難者自身(自己責任)にある」という趣旨で報道されてしまいました。

 

質問した記者は誰?

一連の質問をした記者は西中誠一郎さんという方のようです。

ツイートにもプロフィールにも過激な内容が記載してあります。

安倍政権を批判する活動を行っている彼が大臣を挑発し、大臣としての資質を問う論争にまで巻き込んだこと自体はある意味理解できるところだと思います。

 

彼の思想や活動についてどうこう言うつもりはないですが、これだけ「問題発言」として扱われている今村復興相に対して彼(西中氏)を取り上げるメディアが余りにも少ないことに疑問を感じます。

 

まとめ

断っておきますが私は今村復興相の肩を全面的に持つわけではありません。

私はかねてより彼の政策や主張(夫婦別姓制度への反対、人権擁護法案に反対等)については疑問に感じることばかりです。さらに会見で挑発されて激昂するのはまずかったと思います。

 

しかし今回の発言は基より

記者の存在を隠し事実を誇張するメディアの報道の仕方に疑問を感じたことが一番です。

 

様々な意見があると思いますが、メディアの報道がすべて正しいわけではないと知り、一度背景を理解した上でやりとり全文を読むことが必要だと思います。

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ABOUTこの記事をかいた人

1992生の関西人。漫画『毎日でぶどり』を書いています。ブログには働き方や成長・マーケティング・便利ツール・書評について書きます。ご依頼・お問い合わせはお気軽に!