2019年5月18日(土)~19日(日)に東京ビッグサイトで開催される『デザインフェスタvol.49』に出展しました。
実は駆け出しの頃に一度出展したことがあり(もちろん大赤字)、その準備中に出展経験のある人の記事がものすごく役立ったので、ぼくも準備についての記事を書いておきます。
- 今回のコンセプト/目標
- グッズ作り
- ブース作り
- 見てもらうためにした工夫
- やってよかったこと
- 失敗談
の6つに分けて説明していきます。
今回の目標
今回のデザフェスの目標は『コンパクトな展示で赤字を出さない』ことでした。
前回もデザフェスに出展したことがあるのですが、そのときはブース作りからグッズの仕入れ数まで何もかもヘタで大赤字でした。当時は関東住みだったので移動費はあまり掛かっていませんが、今回は大阪からの参戦なので費用も増します。
本業でやっていることでイベントに出展する以上は「たくさんの人に見てもらえたので満足です♪」と言って赤字では継続できなくなってしまいます。2日間は仕事もろくにできないわけですから、大幅な黒字こそ必要ありませんが赤字を出さないことを目標にしました。
また前回出展時の反省として「必要かどうか迷うレベルのものを準備しすぎた」ことがあります。その結果荷物や費用が増えたこともあり、今回は準備を必要最小限に抑えるコンパクトな展示を目指しました。
こういうコンセプトでやってますということを踏まえて、考えたことなどをご覧ください。
販売したグッズ
今回、販売したグッズは
- 単行本『会社員でぶどり』
- 毎日でぶどり日めくりカレンダー
- でぶどりのぬいぐるみ
- アクリルキーホルダー(3種)
- トートバッグ
この5種類に加えて、ステッカーやポストカードなどをどれでも100円としてひとつの箱に入れて販売しました。
単行本と日めくりカレンダーは市販されているものなのですが、FAQの記述的に問題ないと判断しました。市販品NGは転売行為を禁止する規約だと思います。
既に販売されている物の小売りは出来ません。ご自身がデザインした商品やメーカー品であれば問題ありません。ただしアートやデザインに特化したものに限ります。(出展に関するFAQよち https://designfesta.com/faq-exhibition/)
ブース作り
お次は肝心なブース作りについてです。最初に言っておきますが僕はこういうブース作りが苦手で、周りのブースと見比べても手作り感が否めません。が、苦手なりに色々と考えて作ったのでそのあたりを書き残しておきます。
ブースを作るためにレンタルしたもの・買ったものもまとめます。
デザフェス公式からレンタル
- 会議用テーブル
- 折りたたみイス
テーブルとイスは必要最低限必要かと思います。ただ結局ほとんどの時間は立っていたのでイスはいらなかったかもしれません(スーツケースに座れたので)。そして壁面パネルを借りなかった理由はのちほど。
飾るために買ったもの
●防炎布
テーブルに掛けて机下の在庫を隠す布です。これがあるとないではブースの見栄えが全く違うので購入しました。デザフェスの決まり上、机から10cm以上垂らす布は防炎加工が必要です。
レンタルや、通常の布を買ってクリーニング屋さんで防炎加工してもらう・・などもできますが、ぼくは単色でいいので最初から加工済みのものを購入しました。
Canvathさんではサークル布としてラベルのついた布を簡単にデザインして発注可能です。次回はこれを利用しようと思っています。
●組み立て式の棚
グッズを飾るための棚です。ササガワさんの木製ディスプレイ棚を選びました。畳んで持ち運べる割に作りがしっかりしていて組み立ても解体も簡単なのでお気に入りです。さらに30cm程度の高さも出るのでお客さんの目にもつきやすいのがさらに良い。
はじめは段ボール製の軽い棚を持って行く予定でしたが、什器を含めて紙製はNGという話が出回ったため(出回ったというかもともとダメと記載されていました)急遽、木製の棚を用意しました。
結果的には紙製より頑丈で、今後のイベントでも使えそうなので割高でもこちらを買って正解でした。
完売後の棚の様子。スカスカです。
余談ですが、僕が断念した紙製什器と同じものを使っているブースもいくつか見かけたので、事実上の黙認状態なのかもしれません。スタッフの人にチェックされるようなこともなかったので…。
●パネル印刷
「毎日でぶどり」のブースと分かるようにB3サイズのパネルを作りました。大判プリントの達人というサイトから発注しました(たしか3000円くらいでした)。切り取り線を指定しすればイラストに合わせて切り抜いてもらえます。
プチプチにくるまれて二つ折りで納品されたので持ち運びにも便利でした。
そしてブース全体は事前にイラストを描いてシミュレーションしました。物品を買ってからは自宅にブースを再現し、前を通ったときの見え方などを確認します。
実際この通りにはなりませんでしたが、大きさの縮尺をそれなりに正しく描くことでイメージをつかむことができました。
他にはキーホルダーをかけるフックや小さいライトなどを100円ショップで購入しました。
見てもらうための工夫や考えたこと
値段設定は支払いやすく幅広い予算に対応
イベントではたくさんのブースで少しずつ買う人、お目当のブースでたくさん買う人など様々です。
今回はある程度のお客さんはブースに来ていただけることを見込むことができたので、100円・500円・1000円・2000円・5000円と支払いやすく、幅広い予算に対応した値段設定にしました。
最初は100円のものは売らない予定だったり価格帯も少し違ったのですが、直前にアドバイスをいただいたこともあり変更しました。結果的にこの値段設定は正解だったと思っています。
商品の数を絞った
ジャムの実験でも有名ですが選択肢が4種類の場合と16種類の場合、16種類の方が見てもらえる確率が高いものの購買率は4種類の方が圧倒的に高いというのがあります。人は選択肢が多すぎると選択ミスを恐れて選択自体をしなくなる傾向があるということです。
商品はぬいぐるみ・単行本・日めくりカレンダー・トートバッグ・アクリルキーホルダー・100円コーナーの6種類(うちアクリルキーホルダーは3種類・100円コーナーは雑多なものが多数)に絞りました。
選ぶ楽しさを維持しつつ、迷う煩わしさを解消するにはこのくらいの品数がいいような気がします。が正解かどうかは分からないので次は少し変えてみようかな。
棚は高さを出して顔の高さに
棚は高く使い、商品がお客さんの方を向くようにしました。デザフェスには一日ですべてを見ることが難しいほどのブースがあり、お客さんはすべてのブースを吟味することはできないので、一瞬で何のブースかを判断してもらう必要があります。その点、机の上に平積みした商品は通路を通っている人の目に入りづらくなってしまいます。
前述した木製の棚の上に大判印刷したパネルを設置することで顔の高さくらいにはパネルが来たので、覗き込まなくても「毎日でぶどり」のブースと分かるようにはなったと思います。
ちなみに裏面は定規を添わせてガムテープで貼り付けるという文化祭のような手作り感です。
iPadでGIFアニメを映す
一日目終盤〜二日目はiPadでこのGIFアニメをずっと映していました。
イラスト系のブースは動きのあるものが少なく、アニメーションが流れていると自然と視線を集めることができます。通りすがる人の目線を観察していると、大判パネルと同じくらいiPadを置いているあたりを最初に見てくれる人が多かったように感じました。
ちなみに思いつきで下に付けたQRコードを読み取ってくれる人はほとんどいませんでした。。でも隣のブースのアヒルさんのところは読み取ってもらっていたので設置する高さや大きさが「スキャンしよう」と想起させづらかったかもしれません。
ちなみにこれは手伝いに来てくれた友達の発案です。感謝。
壁面パネルを借りなかった
デザフェスで借りられるのはあくまでもスペースのみ。スペースを区切りたければ自分で壁面パネルをレンタルする必要があります。
実は前回出展したときは「もし後ろのブースが壁を借りていたら裏の面が見えて汚いのがイヤだ」と思って借りたんですが、壁面パネルはSブース14500円〜と出展料と大差ない金額が発生します。その割に埋めないとスカスカな印象を与えてしまい準備の手間も増えますし、前回は活かし切れなかったので除外しました。今回は後ろのブースが壁面パネルを借りていたので裏面が見えている感は否めませんでしたが、なくても特に問題ありませんでした。
作品をたくさん飾ったり、壁面のレイアウトをする方、吊り下げる展示が必要な方などは借りてもいいと思います。
当日の状況を見て試す
最初にブースやグッズのことは考えていましたが、当日の動きを見て色々なことを試しました。
たとえば僕の場合は最後に
- 働きたくない人のためのステッカー(100円)
- ぬいぐるみ用の袋が必要な方のために持ってきていたミニトート
の二種類が余りました。ミニトートは販売用ではなかったのと、ステッカーがもともとの量が多かったので「ステッカー5枚購入でミニトートを付ける」という特典をつけました。
そのときまでにステッカーは1~2枚ずつしか売れていませんでしたが、その後は知人に配る用として5枚購入してくださる方もちらほら。他にも空いたスペースにミニ色紙を置いて写真撮影ができるようにするなど、せっかく来てくれたのにグッズの選択肢が少なくなってしまったお客さん向けに違う見せ方を工夫して違う価値を提供できたのは不幸中の幸いでした。
ただし定価で買ってくれた人がいる商品を安易に値下げするのは要注意です。
イベントではこうした検証がリアルタイムでできるので、今後より良い出展をするためにも常に試し続けてお客さんの反応を見ることが勉強になります。そのためにすぐに変更事項を書いて置けるようにメモスタンドなどを用意しておけば便利でした。
商品は「価値」を告知
SNSで「こういう商品を販売します」とグッズを紹介するだけでなく、実際に使ったときの価値を事前に紹介した方が良さそうだなと思って試していました。
具体的には、でぶどりのぬいぐるみを新幹線の座席に座らせたりビッグサイト前やホテル・自宅で撮影した写真を定期的に投稿し「こんな感じでぬい撮りできます」というアピールをしていました(ステッカーをパソコンに貼ったりキーホルダーをカバンに付けたりすればよかったなと思っています)。実際この写真を見て欲しくなったと何名かに言っていただけました。嬉しい。
新幹線にぬいぐるみを置いて撮影する成人男性 pic.twitter.com/oeBSmA1y2N
— 橋本ナオキ デザフェスありがとうございました (@Abhachi_Graphic) 2019年5月17日
ぬいぐるみは二日分に分けて用意していたのですが二日とも1~2時間で完売しました…
ブースの奥に引っ込まない立ち振る舞い
出展者がブースの奥でスマホを触っていたりすると近寄りがたいものです。とはいえガンガン声をかけて集客するのは苦手ですし、僕自身がそういうグイグイ接客をされたくないので必要以上に声をかけることはしませんでした。ただ見てくれている方には軽くでも挨拶をして、気軽に見てもらえる雰囲気を作るよう努めました。うまくいったでしょうか。。
その他に今回やってよかったこと
年明けからのぬいぐるみの発注
直前になって色々とバタバタしてしまいましたが、実は年明けから動いていたことがありました。それはぬいぐるみ製作です。ぬいぐるみ製作は年明けからメーカーさん探し、見積もりなどを繰り返して2月にメーカーさんを決定し、納品は5月に入ってからでした。
これはデザフェスが近づいて来てからでは実現できなかったので早めに動いていてよかったです。何より終了後も一番問い合わせをいただいたのがぬいぐるみのことでした。イラストブースは印刷系のグッズが主流なので立体物は目を引けてよかったと思います。
臨戦態勢のでぶどり軍団。
近隣のホテルを早期確保
今回は国際展示場駅近くのホテルサンルート有明に宿泊しました。会期中、近くにホテルを取っておいて良かったと何度も強く実感しました。
前回出展した際も(ビッグサイト周辺のホテルがまったく空いていなかったり高額なプランしかなく)電車で10分くらい離れたところに宿泊しましたが、行き帰りは出展者や参加者の方達で意外と混み合い、どうせなら割高でも会場近くに取ればよかったと後悔していました。
なので今回は年明けからの予約を敢行。本当は当選と同時に予約してもいいぐらいだと思います。早めに取れば料金も抑えられます。連泊するには少し高いですがホテルに在庫を置いておけたり、郵送を受け付けてもらえたり(会場への宅配搬入は保管費がかかるので高額です)、終わってからすぐに帰って作業できたので正解でした。
ホテルサンルート有明はフロントの方々の対応も良く、ホテル内に印刷や郵送ができるビジネスセンターもあったので何かと便利でオススメです。ホテルと会場の間のビルには100円ショップもあります。
ホテルで休むでぶどりさん。
お手伝いさんの召集
当たり前ですが、手伝いが一人でもいると格段に労力が違います。一人だとトイレ休憩や買い出しにもなかなか行きづらいもの。隣のブースの人にお願いすることもできるかもしれませんが迷惑は掛けられません。本当に一人いるのといないのでは全く違います。なんなら何もしなくてもブースにいてニコニコしてくれるだけで心強いです。
召集というか友達が「手伝おうか?」と声をかけてくれたのでお願いしました。感謝。
【注意】やらかした失敗
ここまでかなり前から綿密に準備してる感を出してきましたが、準備から当日まで失敗も数多くありました。皆さんにも起こり得ることだと思うので書いておきます。
出展者パスの紛失
最大の失敗は出展者パスの紛失です。
出展者パスは開催1ヶ月ほど前にデザフェス運営さんから届く大きな封筒に、申し込み書類などと共に同封されています。ぼくがいらないものをすぐ捨てるという習性を持っているため、出展者パスを封筒ごと捨ててしまいました。出展者パスは名刺サイズの小ささで、クリアファイルに同梱されているわけではないので見落としてしまいました(その前に封筒に書いてあるので気づくべきでしたが・・)。
最終的に出展者パスは大阪から参戦の山本神恵さんに譲っていただきました(神恵さんは僕とは比べ物にならない画力とデザインスキルをお持ちです)
出展者パスはデザインフェスタの原宿オフィスにて開催2日前まで事前販売、当日も搬入口で販売されているので紛失された方や当日に持ってくるのを忘れた方も安心してください。今回は開場11時でしたが10時45分まで販売されていたようです。
宅配搬入の申し込み忘れ
宅配搬入はその名の通りデザフェス会場へ郵送で搬入するサービスです。開催の一週間ほど前に申し込んでいたつもりがなんと申し込みを完了していませんでした・・。宅配搬入する予定だった段ボールはホテルに送り、そこから自力で往復して運びました。これが近隣ホテルじゃなかったらと思うとゾッとします。
宅配搬入に限らず、(必要な方は)火気消防申請・パフォーマンス申請・早期搬入申請など事前に申し込んでおかないといけないことがたくさんあります。出展にあたってなにが必要かを確認しておき、申し込み期日を確認しておきましょう(当たり前)。
申し込み自体はミスなんですが会場への宅配搬入は業者指定で保管費もかかるのでかなり高額です(申し込み直前まで入力しましたが段ボール二個で8000円以上は掛かっていた気がします)。自力で運べないものはやむを得ませんが、結果的にはホテルに郵送して自力で運んでよかったと思っています。
デザフェスを終えて
結果的には持って来ていた全商品を完売することができました。
前回デザフェスの大赤字の恐怖により持っていくグッズ数が少なかった気がするので、そのあたりの見通しの甘さが反省です。「もうグッズ置いてないんですか?」という方もたくさんいらっしゃり、終盤は何もお渡しできない時間が続いてしまいました。
うまくいったことも反省点もたくさんあったデザフェスでしたが、
何より「でぶどりのためにデザフェスに来た」という方がたくさんいらっしゃったことと、でぶどりを見て笑ってくれる方達にお会いできて直接グッズをお渡しできたのはクリエイター冥利に尽きる時間でした。
またデザフェスに限らず各地のイベントに出展していこうと思います。